都市の生物多様性とは? [日々のつぶやき]

先日、国立科学博物館で開催中の生物多様性の企画展を見に行ってきました。

企画展「日本の生物多様性とその保全―生き物たちのバランスの中に生きる―」
(開催期間:5月1日~7月19日)
http://www.kahaku.go.jp/event/2010/05balance/index.html

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世間一般にまだ浸透しているとは言い難い「生物多様性」を説明する上で、
まず導入の「つかみ」をどうするか、日頃悩ましく感じるところです。
そんな職業柄、まず導入部の展示に注目しました。
遺伝子・種・生態系という生物多様性の3つのレベルの説明から入る
オーソドックスなものでしたが、種の多様性の説明として
生き物のフィギュアをコレクション的に並べるなど、
表現に工夫されていました。

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展示の中で個人的に注目したのが、
「都市の生物多様性」というコーナー。
次のような小コーナーで構成されていました。
「今は消えた都心の植物」
「東京都区部から消えた大型蛾類」
「大気汚染と地衣類」
「緑のオアシス・皇居」

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この「都市の生物多様性」という言葉は、
最近よく耳にするように思います。
そこには、時として、生物多様性に対する都市機能の役割を
ポジティブに評価しようというニュアンスを感じることがあります。
(科博の展示にはそのようなニュアンスは感じませんでしたが)
企画展を見ながら感じたのは、「都市の生物多様性」とは、
伝統的な資源利用を通じて培われてきた「里の生物多様性」が
都市化によって劣化した姿に過ぎないのではないか、ということ。

5月に発表された日本版の生物多様性総合評価(JBO)では、
日本の生態系タイプを6つに分類したうちの一つとして、
「都市生態系」が設けられています。
その評価の記述をみると、
「農地や林地などの都市緑地の減少や河川の水質の悪化などにより・・・
過去50年ほどの間に損なわれており、長期的に悪化する傾向で推移」
と結論表記されています。
ここでも、「都市の生態系」とは、「里の生態系」が損なわれた姿という見方が可能です。

「都市性」に対して生物多様性の観点から何か積極的な価値づけができるのだろうか。
そのような価値づけが、昨今の生物多様性ブームの中で求められている側面があるのではないか。
それに答えるには、人と自然との関係性についてパラダイム転換ともいうべき発想の転換が必要ではないか・・・

まだまだ考えていかなくてはいけないようです。

緑生研究所の詳細はコチラ
http://www.ryokusei-ri.co.jp/


担当:伊藤

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