渓流にひっそりと佇むカツラの巨木 [樹木医・樹木診断]

私は、岡山県の山沿いの片田舎で昭和30年代に生まれました。
当時は、自然は身近であり、生活の一部でありました。
四季は農事と密接に係わり、神を讃えるお祭りが子供心をとらえてやみませんでした。
山にあふれる木の実は貧しい食生活の中でのおやつがわりでもありました。
このような子供時代に近所の神社や一里塚に聳え立つ巨樹に圧倒され恐れを抱いたことを覚えています。
今でも巨樹に接するたびに畏敬の念が湧いてきます。

日本で確認されている巨樹・巨木は1998年と2000年に実施された環境省の調査データによると約68,000本とされています。
しかし、いまだ人の目にふれていない巨樹・巨木は多く存在していると思われます。

昨年の8月に栃木県のある渓流を歩いているときに、岩盤に無数の根を張り出し立つカツラの
巨木を見ることができました。
このカツラは複数の幹で構成され、樹高はおよそ20m、根元周囲長は5m前後です。
特に印象に残るのは、岩盤に無数に張り出した根です。
渓流の流れから樹身を守るべく、周囲の岩を抱き込み、幹を支えている姿は感動します。

人が立ち入ることが近年までなかった場所で、カツラはどんな歴史をみてきたのでしょうか。
自然への畏敬の念と恐れを抱き続けることは、多様な自然と共生していく’ひと’としての重要な鍵となるのではないでしょうか。
 
また、どこかで、新しい巨樹と出会えることを楽しみにしている今日この頃です。

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緑生研究所の詳細はこちら 
http://www.ryokusei-ri.co.jp/

担当 松本竹吾(樹木医)
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